味覚障害と漢方

味覚障害とは、食べ物や飲み物の味が分からなくなってしまう事です。味というものは、飲食物に含まれた塩分や糖分、アミノ酸やその他のものが、舌の表面にある味蕾(みらい・赤いぷつぷつ)から神経を通って脳に伝わることで感じるものです。

味覚障害の女性
この流れのどこかに以上があれば、味覚障害を生じることとなります。全く味覚を失ってしまえば、何を食べても砂を噛んでいるようで、食べることを楽しみとする人にとっては非常に辛いものとなります。

味覚障害は味覚の衰えや老化によって起きることもある他、舌炎、口内乾燥など口の中の粘膜異常、糖尿病、高血圧、手術などによる神経損傷などの肉体的不調から味覚障害となる場合もあります。その他、精神障害などの精神的不調から引き起こされることがあるほか、薬の副作用によって引き起こされることもあります。原因は本当に様々なのですが、原因を特定すれば、味覚障害改善のための通過点としてその症状の改善を優先的に努めるべきでしょう。

また、栄養不足が原因となる場合もある。味覚に深く関係する栄養素とは亜鉛などの微量元素であり、これらが欠乏することで味覚障害が引き起こされることがあります。亜鉛を多く含んでいる食べ物は牡蠣、サザエ、アサリなどの貝類の他、レバー、大豆、ゴマなどに豊富に含まれています。

牡蠣
これらの食べ物は外食やコンビニ弁当ばかりというような、食生活の乱れた人にはなかなか縁のない食べ物ばかりです。このため、亜鉛不足からの味覚障害を引き起こす人は偏食の嫌いがあるものです。バランスよく食べて日ごろから亜鉛を摂取しておきましょう。

味覚障害の治療に用いられる漢方薬は、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、小柴胡湯(しょうさいことう)、四逆散(しぎゃくさん)、竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)、平胃散(へいいさん)、四君子湯(しくんしとう)などがあります。

黄連解毒湯は、気分のイライラや、胸部・胃部などがつかえているような感覚がしている時におすすめです。この時には口の中に苦みを感じるものです。

小柴胡湯は、みぞおちからわき腹にかけての圧迫感が感じられ、尚且つ舌に白い舌苔がつくという症状を呈します。口の中が苦く感じられたり、ねばねばとする時には小柴胡湯がおすすめの漢方薬です。

四逆散は、手足に冷えを感じ、舌が乾燥し、舌に白い舌苔が就いている時に使われます。このとき口には苦みをともないます。

竹筎温胆湯は、風邪が長引き、熱は下がっているのに気分がすぐれない、寝つきが悪い、胸が苦しい、口が苦くねばねばするなどの症状があるときに用いる漢方薬です。

以上のそれぞれの症状が、味覚障害に伴う時には、てきした漢方薬を用いることで、様々な症状が緩和されるのはもちろんのこと、味覚障害も改善されることでしょう。