嗅覚障害と漢方

嗅覚障害の一番の原因は、鼻炎や副鼻腔炎ですが、二番目に多い原因は風邪の後遺症です(鼻水、のどの痛みなどの風邪の症状が治ったにもかかわらず、臭いがしない)。そして三番目は頭を打つなどして頭部外傷後によって嗅覚障害が起きる場合もあります。四番目以降は原因不明による嗅覚障害となっています。これらを順番に見て行きましょう。

においを感じない女性

まず一番の原因となる鼻炎・副鼻腔炎ですが、この症状はどろっとした鼻水が大量に出たり、鼻の粘膜が腫れることから、ニオイを感知する部分にニオイが到達しないことが下人となっています。このため、鼻炎や副鼻腔炎の完治にともなって、嗅覚は元に戻るでしょう。

二番目の原因は、風邪の後遺症で起こる嗅覚障害です。風邪がなおって鼻が詰まっていないし粘膜の腫れもない、なのにニオイが分からないというのが風邪の後の嗅覚障害の特徴です。この原因は、風邪の炎症によってニオイを感知する神経が障害を受けたものである事は分かっていますが、どの風邪のときに嗅覚障害が起こるのか、どのウイルスに感染したい時にこのリスクが高くなるか、などはまだ解明されていません。

三番目の原因は頭部に外傷を受けた場合で、このときに強い衝撃を受けることによって嗅覚神経が切れてしまえば、回復はかなりの困難となるでしょう。この場合、有効な治療法はないため、改善率も非常に低いスコアに留まります。

そしてこれらに続く原因は、原因不明というものです。風邪もひいておらず、頭に衝撃を受けたわけでもないのに、嗅覚障害を呈するのです。このような時には、とりあえずステロイド、もしくは漢方などを用いて改善を試みる者の、何分原因不明ですので、改善率は50%くらいにとどまります。原因不明による薬の選びにくさが大きな原因です。

嗅覚を改善するためには、西洋医学ではステロイド剤を注入する方法が最も一般的な方法です。東洋医学にも改善方法はあり、当帰芍薬散などの漢方薬を用います。この漢方薬は水毒を改善し水の流れを正常化する働きを持っているので、鼻炎や副鼻腔炎などのあらゆる鼻の疾患に効果を表します。嗅覚障害は鼻水や鼻粘膜の腫れと言った水毒が原因となっていることが多いため、当帰芍薬散によって水毒を改善する事で症状の緩和を図るのです。

ただし、人間の嗅覚は年齢と共に衰えていくものです。これは神経の鋭敏さが年齢と共に失われて行くことであるので、ある程度仕方のないことであるともいえます。加齢による嗅覚の衰えは当帰芍薬散を以てしても改善する事は出来ません。