耳鼻咽喉科領域における漢方医学のとらえかた

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耳鼻咽喉科疾患とは、耳・鼻・喉などに発症する疾患のことです。代表的な疾患を挙げるならば、耳の疾患では中耳炎やメニエール病、鼻の疾患では鼻炎、喉の疾患では扁桃炎などが挙げられるでしょう。

耳鼻咽喉科疾患は、西洋医学では耳ならば耳のみ、鼻ならば鼻のみ、喉ならば喉のみなどというように、局所的に限定した疾患として捉えられる傾向にあります。しかしながら、実際には全身的な疾患の現れであったり、精神的な疾患から派生した症状であったりすることも多いのです。これに対して漢方医学では、このような疾患を全身的あるいは精神的な面も軽視せずに、全体をみて診療するので、重要な意味を持っていると言えます。

西洋医学では、人間は心と体の2つの要素によってこうされているものであると考えます。このため、あらゆる疾患に対して、精神的な疾患と肉体的な疾患とに分けて治療を行うのです。一方東洋医学では、心と体を一体のものとして捉えるため、治療の際にもこの2つの要素を分けて診察・治療することはありません。あくまでまとめて診察・治療をするのです。耳鼻咽喉科疾患のなかでも、心と体を分離させては十全の治療が難しい疾患があるため、東洋医学的見地に立った心身一如の治療法は大変有効なのです。

漢方医学で重要視される治療法に、随証治療というものがあります。随証治療とは、此処の患者の証に随って治療をし、心身ともに調和のとれた状態に復帰させる治療法のことです。随証治療には、局所的の病状のみを治療をするという発想はありません。西洋医学的には同一の病名で分類される局所的な疾患であっても、証は千差万別であると捉え、無限にある漢方薬の中から、証に随って薬が選ばれます。

理事長比俊例えば、耳鼻咽喉科疾患の代表的なものにアレルギー性鼻炎というものがありますが、これなどは証にかなりの偏りがあるものです。発作期の患者には麻黄(エフェドリンを含み、鼻炎に効く)を含んだ漢方薬の証が呈していることが多いものです。このことは、言いかえれば漢方薬に関する専門知識を十分に実に付けた上で人体全体を診た上で随証治療をおこなわずとも、随証治療を少し念頭においたうえで、広く使われている漢方薬を用いて診療することで、治療する事が出来ると言う事が出来ます。このことは、めまい症・咽喉頭異常感症などの、証に偏りのある症状を改善するための漢方治療にも同じことがいえます。

耳鼻咽喉科疾患の中には、漢方診療による効果がかなり期待されるものがあります。様々な疾患が挙げられますが、ここでは
めまい症、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、咽喉頭異常感など、左記の項目について解説します。

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