副鼻腔炎とは、いわゆる蓄膿症のことです。
副鼻腔とは、鼻腔に隣接した骨内に作られた空洞であり、ヒトでは前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形洞の4つがあります。副鼻腔に慢性的に炎症を起こす病気を慢性副鼻腔炎と言います。よく知られている名前としては、膿がたまることから蓄膿症という呼ばれ方もします。原因は細菌感染やアレルギーによって膿がたまることです。
鼻づまり、どろっとした鼻水、呼吸がしづらい、痰、後鼻漏、頭痛、嗅覚障害、咽喉の痛みなどの症状を呈します。
副鼻腔炎は漢方薬を用いて治療する事が出来ます。同様に耳鼻咽喉科疾患でアレルギー性鼻炎や鼻ポリープが似たような症状を呈しますが、それぞれで大きく生薬の配合が変わりますので、正確に診断を受けてから漢方薬治療を施すこととなります。
漢方薬は、症状と体質の問診によって配合が決められます。症状は上記の通りですが、
体質では、
- 免疫力が弱く、風邪を引きやすい
- 元々鼻が弱く、蓄膿症になりやすい
- 食生活が悪い(外食ばかりしている、野菜不足、偏食である)
- 血行が悪く、冷え症で、水分代謝が悪い(血行が悪い、冷え症だ)
- 胃腸が弱い
- ストレスで精神的に疲れがたまりやすい
漢方薬は西洋薬とちがって副作用が少ないものなので、根源的治療のために長く付き合う事が出来るのも優秀な点です。
難しい名前が多いですが、副鼻腔炎の治療としては、一般的に以下の漢方薬が用いられます。
葛根湯加川芎辛夷、荊芥連翹湯、辛夷清肺湯、補中益気湯、銀翹散、荊防敗毒散、黄耆建中湯、小青龍湯、苓甘姜味辛夏仁湯、麻黄附子細辛湯、 辛夷散、生脈散、排膿散及湯
この他にも多くの漢方薬が利用されます。しっかりとしたカウンセリングを元に、その人の症状に合わせて生薬を配合し、上記の漢方薬を作るのです。飲み続けることで症状を軽減し、同時に体質を改善していきます。
これらの漢方薬の中でも、特に多用されるものは葛根湯加川芎辛夷、荊芥連翹湯、辛夷清肺湯です。
葛根湯加川芎辛夷には葛根、麻黄、生姜、大棗、桂枝、芍薬、甘草によって構成されており、病気の初期症状の人で体力の低下していない人に使われます。
荊芥連翹湯に用いられる生薬は、当帰、芍薬、地黄、黄連、黄柏、山梔子、連翹、防風、薄荷、荊芥、甘草、枳殻、紫胡、桔梗などから構成されています。いわゆる腺病体質を改善するといわれています。
辛夷清肺湯の配合生薬は、辛夷、枇杷葉、知母、百合、山梔子、麦門冬、石膏、升麻です。体力が比較的ある人に用いられ、主に鼻づまりを改善してくれます。